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「VA-11 Hall-A」プレイした感想とか

 

VA-11 Hall-Aをプレイした

 

VA-11 Hall-Aの全エンディングとアナエピローグまで終わったのでその感想を。このゲームを買った理由としては正月にのんびり遊べそうだったていうのとウィンターセルで安く買えたから。ゲームのジャンルはサイバーパンクバーテンダーアドベンチャーゲームとあるようにほとんどテキストのノベルゲーム。

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以下ネタバレありの感想。ノベルゲームなのでもはや全部ネタバレ。プレイ予定の人は見ない方がいい。

 

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舞台設定

 

グリッチシティと呼ばれる都市にある「VA-11 Hall-A」というバーが舞台。この世界ではリリムと呼ばれるアンドロイドやしゃべる犬なんかも市民権を持っており、人間同様働いていたりする。ここまで聞くと最近はやりのサイバーパンクでハードコアな世界観を想像しがちだが、舞台はバーなので外の世界を直接知る方法はない。主人公のバーテンダーであるジルを通して聞こえてくる会話や、インターネット掲示板、ニュースなどの情報で世界観を想像するしかないっていうのが乙。こんな世界観がきれいなドット絵とクールなBGMで楽しめるんだからもう最高。

 

 

システム面

 

一日ごとに区切られていて、基本的にはバーとアパートの往復。バーではお酒を提供して、お客の話を聞くのがお仕事。このゲームの特徴は客に提供するお酒によってストーリが少しずつ変化していくとこ。といってもやることは単純で、レシピを見ながらシェイカーに素材をドラックすればいいだけなので超簡単。後半は慣れて作業感が出てしまうけれどノベルゲームに難しい作業はいらないし、客との会話を楽しむうえでのちょっとしたアクセントになっていて結構好き。

ビールとシュガーラッシュのレシピはみんなすぐに覚えることになるんじゃないだろうか。

ジルのアパートではインターネット掲示板やニュースサイトの閲覧、買い物なんかが可能。掲示板やニュースは読まなくてもゲームは進行するのだけど、客との会話を楽しみたいならば読んでいくべき。特に掲示板の感じはなかなかリアル。買い物に関しては最初に一切説明がないけれど、ジルの集中力に影響している。最初のお給料はうれしくてつい無駄遣いしがちだけど、節約していかないと後半結構かつかつだったりする。というのもシーズンごとに家賃や電気代などの請求が来るため、ある程度お金をためておかないと電気を止められたり家を追い出されることになる。私は最初に余計なものを買い過ぎて電気を止められました。ごめんよジル…

ただゲームオーバーになることはなく、最終的なエンディングに関係するだけ。ゲームオーバーになるのは客に適当な対応をしてボスに怒られた時だけ。

 

 

 

ストーリーの感想

 

基本的にはジルと客のやり取りがメインで、どこか哲学チックな話題なんかが多い。(たまに何言ってるのか分かんないこともあるけれど)彼らが抱えている問題もサイバーパンクな世界観とは裏腹に妙なリアリティが感じられた。貧富の差だとか病気に対する問題だとか。まぁ現代の人間が作っているんだからそういった話題になるのはしょうがないんだろうけれど、そういったところから人間味が感じられてよかった。(人間じゃないやつもいたけれど)全体を通してジルの生活が大きく変わるような話ではなかったが、終盤では人の死をテーマにしつつも前向きに生きようと考えられる良いストーリーだった。

 

 

 

それぞれのキャラクターについて

 

ジル

彼女のことが好きになれたからこのゲームはすごく楽しめたんだと思う。それくらい愛らしいキャラクター。最初はクールなバーテンダーで、客のしょうもない話も華麗に受け流していくようなキャラクターなんだろうと思っていた。そんなことを思っていると、チャプター1の最後あたりからだんだんと彼女のことが判明していく。仲間思いだったりお酒のコレクションがあったり、学生の頃にいじめられたのを引きずっていたりとかわいい一面が見られる。特に好きなのはフォアと会話しているのがばれたとこ。アパートではジルと飼い猫のフォアが会話している様子が見られる。しかし本当はフォアがしゃべっているわけではなく、ジルがフォアと会話しているように腹話術をしているだけということが後々分かる。犬がしゃべる世界だから多くのプレイヤーは猫もしゃべると勘違いしそうだが、ボイスがないのをうまく利用した良い設定だと感じた。恋愛経験が多く、男性でも女性でもいけるバイセクシャル。しかし陰茎そのものや、それを連想させることを聞くと吹き出してしまうため多分女性の方が好きなんじゃないだろうか。喫煙者で休憩時間中によくタバコを吸っているのだけど、人にタバコ勧めても誰一人受け取らないの好き。

 

ギル

謎が多いバーテンダー仲間でイケメンのお兄ちゃん。ジルがVA-11 Hall-Aで働き始める前にボスに拾われて働いているらしい。ボスや客であるジェイミーは彼の存在をなんとなく理解しているみたいだったが、まさか最後まで明かされないとは。ただ香港に関係する話題が出ると急にあたふたしたり、グリッチシティのマフィアに詳しかったりと、なんか物騒なことに首を突っ込んでいるんだろうということは想像できる。謎が多いのとたまに消えることを除けば面倒見のいい常識人。ただ最後に彼女ができてスベスベしていたのは気に入らねぇなぁ?

 

デイナ

永遠の17歳、VA-11 Hall-Aのオーナーでジルとギルのボス。元プロレスラーだったり警察だったりするらしい。トラブルメーカー的ポジションでもあるのだけど、バーが閉店した後の二人の就職先を探してくれたり、話を真剣に聞いてくれたりとなかなかいい上司。ジルに惚れられているためたまに隠し撮りされている。ほかのゲームにも登場しているとかなんとか。発売元のブログトップページに彼女が目を見開いているポーズをしているのだけど親日の内藤と関係あったりするのだろうか…

 

アルマ

VA-11 Hall-Aの常連でハッカー。恋愛を求めているがなかなか続かないらしい。ジルの友人でもあり、彼女が滅入っているときに強引に話を聞いてくれるシーンが特に好き。兄弟関係の悩みを話すことが多いのだけど、そういう点ではなんだかすごく親近感がわいた。簡単には関係の切れない家族という立場の人間と食い違いが起きたときにうまくやるのって難しいよね。彼女は唯一複数のエンディングに登場していて、お泊り会エンディングとバッドエンディングどちらでもジルを自宅に泊めている。それだジルと仲がいいってことなんだろうな。

 

ドロシー

VA-11 Hall-Aの常連でリリム。幼い見た目をしているがどうやらセックスワーカーらしく、自分の需要を理解しているため少女の姿をしているんだとか。彼女もエンディングの一つを持つ重要人物で、結構複雑な過去を持っている。普段おちゃらけた態度をとっていてムードメーカー的な存在なのかと思っていたが、終盤の彼女のストーリーはこの世界独特なもので特に良かった。彼女のエンディングではアナの正体がなんとなくわかるため必見。

 

セイとステラ

ホワイトナイトと呼ばれる警察的ポジションのセイと財閥企業のお嬢様ステラのコンビ。基本的に二人同時に来客することが多い。特にステラはキャットブーマーと呼ばれる手術を受けており、猫耳義眼ドリルとかいう要素もりもりなビジュアルをしている。ビル襲撃事件なんかでは彼女たちの関係がよくわかる。事件後のセイへの対応でイベントが変化して、その後バックヤードでの会話が特に印象的だった。ステラは見た目によらず優しい人なんだけどゲームの割と序盤でカクテルクイズを出してくるのはやめてくれ。彼女たちのエンディングでは一緒にキラ☆ミキのライブに参加している様子が見られる。

 

ヴァージリオ

変な話し方をするおじさん。最初のほうはジルに難解な注文をしてくるので、初回プレイ時に彼の正体を知るのはなかなか難しそう。私もガイドを見ないとわからなかった。正体は元ホワイトナイトで、わけあって逃走中。でもいい人。まさかの彼にも個別エンディングが存在している。エンディングでは彼の正体が分かるほか、カレーを食べるジルがみられる。ジルのイラストがかなりキュートなので好き。

 

 

キラ☆ミキ

リリムのアイドル。登場回数こそ少ないけれど、ちょくちょく話題に出てくるので登場時のインパクトが強かった。初回来店時に酔った彼女を見ることができるのだけど、なかなかかっこいいことを言っている。 最終的に自分のプロデューサーとくっついたみたいな話をしていたけれど、そういうのって結構あるのかしら。

 

アナ

ジルに付きまとう幽霊?。実はドロシーの義理の姉で、長い闘病生活の後トラックにひかれて死ぬというなかなか悲惨な結末をしている。その正体はエンディングとエピローグで明かされたものの、なぜ彼女が幽霊として漂っているかのなぞは解決しなかった。ただ真エンディングで続きをほのめかすような展開があったので、もしかすると次作以降も彼女が登場して、シリーズ通して彼女の存在が明らかになっていくとかなんじゃないかと勝手に予想。続編のPVにも出てたしね。

 

 

一応ストーリーに関係してくる人物だけざっとまとめたけれど、出てくる人それぞれにストーリーがあり、周回プレイをすると印象がガラッと変化するなんてこともある。細かい分岐があるところもこのゲームの魅力。

 

BGM

 

バーが開店する前と休憩後にジュークボックスをいじって自分の好きな音楽を流すことができる。収録されているBGMがサイバーパンクな世界観にマッチしてすごくいい。最近はspotifyでずっとサントラを流している。お気に入りの曲は「Every Day Is Night」「Your Love Is a Drug」「Truth」サントラに収録されているボーカル入りの「Shine Spark」。

 

最後に

 

ノベルゲームを遊ぶ機会があまりなかったのだけど、ほかのノベルゲームも試してみたいと思えるいいゲームだった。

初回プレイでは誰とのフラグも立てないというなんちゃってバーテンダーだったけれど、そのおかげで周回プレイも新鮮な気持ちで楽しめた。強いて文句を言うとセーブスロットが少し少なかったかな。せめて日数分は欲しい。

毎日寝る前に1日分だけ遊んでいて、もう終わりが近いのを察するとつらくなっていたほどにドはまりしたゲーム。自分の好きなタイプのゲームを見つけると私は小躍りしたくなるくらいにうれしくなってしまうのだけど、初日はやばかった。このゲームを最高の環境で遊ぶために照明を買って、それが届くまで1週間プレイするのを我慢したのもいい思い出。

frogstyie.hatenablog.com

続編のゲームで「N1RV ANN-A」というタイトルが出るらしいから今すぐにでも遊びたいけど、続編が出る前までにはシューティングゲームをクリアしなくては。あと色々調べているうちに「VA-11 Hall-A KIDS」というスピンオフゲームを見つけてしまったので私はこれも遊ばなくちゃならないんだろうな。

 

 

おわり